「障害年金をもらいながら、働くことの出来る世の中にするために」
私は、健康保険組合の職員を10数年経験いたしました。
非常に病気欠勤の多い業界で、病欠中の給与の肩代わりである「傷病手当金」の請求枚数は、かなりの件数でした。
退職までに何百件審査したことでしょうか?
会社を休む原因は、第3者による交通事故もあれば、突然の脳内出血、慢性的なガン治療、原因不明の精神疾患など、多種多様です。
そこで、気になったことは、健康保険による「傷病手当金」は支給開始日から1年6ヵ月で終了と言うことです。(現在は通算1年6カ月に変更)
その後、その方がどうなったかは、わからないこともあれば、資格喪失届が提出されることもありました。つまり、退職したということです。
退職した理由は、就業規則に「健康保険 傷病手当金満了を持って、退職とする」という記載事項があるからだそうです。
なるほど、会社としては、理解できる対応です。
中小企業にとって、当然の処置かと思います。何といっても、社会保険料の負担は大きいですし、また、本人分の保険料は本人から徴収しないといけません。
つまり、傷病手当金が無くなれば、病欠の従業員に社会保険料の本人負担分は、払えるわけがありません。
しかし、多くの方は、障害年金の存在を知りません。会社の担当者も知りません。
ここで、知っていたただ期待ことは、障害年金は初診日から1年6ヶ月経過後から支給の対象になると言うことを知らないのです。
つまり、健康保険の傷病手当金の満了と障害厚生年金の開始日は、ほぼ同じ時期に当たることが多いのです。
「会社の人事担当者は、健康保険傷病手当金は知っていても、障害厚生年金は知らない」
健康保険 傷病手当金満了間際に会社の人事担当者に電話連絡をしました。
その方の病状を確認したうえで、「障害厚生年金の手続きの用意をしてください」と伝えましたところ、会社の人事担当者は、「それは、なに???」という感じでした。
事情を説明したところ、理解をしていただき、家族から障害厚生年金の手続きをされたそうです。
その後、担当者から電話があり、「ご本人さんも、ご家族も喜んでおられます」と障害厚生年金の受給が決まったと連絡がありました。
この方は、障害厚生年金を受けながら軽作業を行うことになり、会社も、体力的に無理をさせず、しかも、給与面では障害厚生年金があるので、気兼ねなく使用できるという、win&winの関係を気づけました。
しかし、これは障害厚生年金があったから、出来たことだと思います。
一方、傷病手当金の1年6ケ月で職場復帰できない病気が増えております。
また、治癒したと言っても障害を残している場合もあり、元の作業に復帰できない場合もあります。
そういった場合、障害年金を受けながら働くという選択肢を考えてみては如何でしょうか。
障害が残ったとしても、貴方の価値は下がるものではないと思います。
「自分は障害年金をもらえるの?」「いくら障害年金をもらえるの?」ではなく、「いかに働き、いかに生活をするか」という観点で障害年金の代行をしております。
「もらえたら良い」「多くもらうために……」という観点の方は、他の社労士に依頼することをお勧めします。
社会保険労務士:井上 正宣